海岸段丘の農園日誌

湘南の海岸段丘の一角に借りている家庭菜園などで行っている色々な活動を記録しています。

様々な春の花 10

 様々な春の花の10回目です。
 本日は、西洋タンポポ、マツバギク、スズラン、コバンソウ、マツバウンラン、アマドコロ(ソロモンズシール)、ツボミオオバコ、シロバナマンテンマを掲載します。


 西洋タンポポ
 セイヨウタンポポ(西洋蒲公英)は欧州原産のキク科タンポポ属の多年草で、春に黄色い花を咲かせます。太い直根があり、葉はすべて根元から放射状に出て、様々な形に羽状に裂けます。花茎は中空で葉をつけず、頂部に直径3.5~4.5cmの鮮黄色の頭花を一個つけ,総苞は高さ2cm,総苞外片は色が淡く、つぼみの時に下方へ反り返ります。しかし、日本タンポポの仲間では反り返りませんので、ハッキリと区別が出来ます。内片は濃緑色で直立,いずれも角状突起が無い.花は舌状花のみで,日本タンポポより数が多い特徴があります。果実(痩果)は長さ2.5~4mmで、灰褐色~茶褐色の種に長いくちばし状のものの先に白色毛状の冠毛がつきます。


 マツバギク
 マツバギク(松葉菊)の仲間は、南アフリカを中心に約180種が分布するハマミズナ科ランプランサス属の植物です。ランプランサス属の植物の大半は、南アフリカの乾燥地帯を中心に分布しており、カラフルな美しい花を咲かせます。マツバギクとして流通しているのはこれらの中から数種を交配させた交配種です。
 「マツバギク」といえば、前述のハマミズナ科ランプランサス属の総称ですが、ハマミズナ科で草姿や性質が似ているデロスペルマ属の植物もマツバギクとして流通しています。
 主に流通しているは南アフリカに分布するデロスペルマ・クーペリー種で、寒さに弱いランプランサス属の植物に比べて耐寒性が高いため、「耐寒マツバギク」とも呼ばれています。最近では耐寒性の高いデロスペルマ系の方が主流となりつつあります。
 花期は系統によって異なり、ランプランサス系が4月~5月、デロスペルマ系が6月~10月です。花期になると、分枝した茎の葉の付け根から花柄を伸ばし、花径3~5㎝程度の花を咲かせます。花は菊の花に似ていますが、集合花ではありません。花弁のように見えるのは、雄しべが変化した仮雄蕊(カユウズイ)と呼ばれるもので、細い線状になっており、美しい光沢を持ちます。中央には3~5本の雌しべがあり、その周りを多数の雄しべが囲みます。


 スズラン
 スズラン(鈴蘭)はキジカクシ科スズラン属の多年草で、原産地はヨーロッパ、東アジア、北アジアで、夏の暑さに弱い一方で、寒さには大変強く、北海道を代表する花となっています。スズランのライフサイクルは、4月頃に新芽が動き始めて葉を展開し、4〜5月に開花して、6月頃に赤い実をつけます。そのまま葉を広げて秋までは青々としていますが、晩秋になると地上部を枯らして休眠します。冬を越せば、また春に新芽を出して生育期に入ります。
 スズランは全草に毒を含有していることに留意して、取り扱う必要があります。スズランはヨーロッパ原産のドイツスズランが一般的に流通していますが、日本原産のスズランも山野草として一部では流通しています。
 スズランに病害虫が発生しにくいのは、全草に毒を持っているからです。スズランに含まれる有毒成分は30種を超えるとされ、摂取すると頭痛や嘔吐、めまいや不整脈、血圧低下などの症状が現れます。中でもスズランに含まれる強い有毒成分のコンバラトキシンは致死量が約18mg前後ですから、微量を摂取しても死を招く危険性があります。


 コバンソウ
 コバンソウ(小判草)はヨーロッパ原産の帰化植物で、イネ科コバンソウ属の一年草です。日本へは明治時代に観賞用として渡来したものが逸出して、本州中部以南では雑草化しています。
 草丈は10~60 cmで、7月から9月にかけて、直立した茎上部の細枝から、楕円形をした蓑虫に似た小さい緑色の小穂を鈴なりに垂下して咲かせます。花名の由来は、小穂を構成する小花の形と成熟した時の黄褐色の果実を江戸時代の通貨である小判に例えたことに由来しています。また、小花の形が俵形に見えることからタワラムギ(俵麦)とも呼ばれます。


 マツバウンラン
 マツバウンラン(松葉雲蘭)は1941年に初めて確認された北アメリカ原産の越年生の帰化植物で、在来種のウンランに比べて葉が細いことからこの名が付けられています。最近では生育範囲が拡大して普通に見られるようになっています。分類についてはゴマノハグサ科からオオバコ科 に再編されて、属名はウンラン属から分離されたマツバウンラン属に改められています。
 草丈は10~60㎝で、茎は基部で数本に分枝し、走出枝を出して広がります。茎葉は幅1~2㎜の線形で、下部のロゼット状の葉は楕円形の多肉質です。花は青色~青紫色でまれにピンク色の唇形花で、花期は5月~7月です。


 アマドコロ(ソロモンズシール)
 アマドコロ(甘野老)は、山野に自生する落葉性の多年草で、名前の由来は太い根茎の形がトコロ(ヤマノイモ)に似ていて、甘みがあることによっています。春の新芽は山菜として食用にされますが、果実は有毒です。観賞用に栽培されるのは、主に葉に白い覆輪が入る品種で、葉は活け花などの花材としても広く利用されています。茎は弓なりにやや湾曲し、春にはスズランのように下向きの花を咲かせます。
 ナルコユリ(アマドコロ)属には50種ほどがありますが、アマドコロの基本種のオドラータは欧州に自生し、「ソロモンズシール」と呼ばれ、根茎がハーブ茶に用いられています。観賞用に交配種も育成されています。日本にはヤマアマドコロ、オオアマドコロ、ナルコユリなどが自生しています。ナルコユリはアマドコロと混同されやすいが、ナルコユリは葉が細長いことから区別できます。


 ツボミオオバコ
 ツボミオオバコ(蕾大葉子)は北アメリカ原産のオオバコ科オオバコ属の帰化植物で、道ばたや荒れ地に生育しています。和名の由来は花冠が殆ど開かないことからきています。太い直根を出し根ぎわから多くの葉が束生し、全体に白色の曲がった毛が密に生えています。葉は倒狭卵形で、先は短くとがり、基部はしだいに狭まって柄となり、縁には目立たない波状の歯牙があって、柄とともに長さ3〜10cm、幅1〜2cmです。高さ10〜30cmの花茎を伸ばし、長さ5〜20cmの穂状花序に多数の花を密生しています。
 花期は5月~8月で、開放花は1割弱しかなく、花冠裂片が開き、反曲し、雄しべが突き出し、葯は長さ1~1.1㎜の広惰円形、月苞は長さ約2mm、狭卵形で先がとがり、太い中脈があって、長毛が散生します。


 シロバナマンテマ
 シロバナマンテマ(白花まんてま)はナデシコ科マンテマ属のヨーロッパ原産の帰化植物で、江戸時代末期に渡来しました。庭などに植えられたものが野生化して、本州〜九州の海岸などに群生しています。高さは20〜30cmになり、全体に開出毛があり、上部には腺毛もまじり、葉の長さ2〜4cmです。茎の下部の葉はへら形、上部の葉は倒披針形で先がとがっています。花期は5〜6月で、茎の上部に直径約7mmの花が総状につき、花弁は白色で、舷部の中央に紅紫色の大きな斑点があり、基部には披針形の小鱗片があります。

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