海岸段丘の農園日誌

湘南の海岸段丘の一角に借りている家庭菜園などで行っている色々な活動を記録しています。

様々な春の花 7

 春の花の7回目です。
 本日は絹さやエンドウマメ、スナップエンドウマメ、ソラマメ、ルッコラ、カタバミ、イモカタバミ、オオイヌノフグリ、カラスノエンドウ、イヌムギ、ハナニラを掲載します。


 絹さやエンドウマメ(赤花)
 絹さやエンドウマメは、エンドウマメを若いさやの状態で収穫した時の呼び名です。今は季節を問わず1年中店頭に並んでいますが、本来の旬の時期は4月~6月頃です。「絹さや」という名称は、若いさやが擦れあう時に衣擦れのような音を立てるので名付けられたとのことのようです。
 エンドウマメは奈良時代に遣唐使によって伝えられましたが、エンドウマメの若いさやを食用にするようになったのは、13世紀のフランスが始まりで、それまでは成熟した実(豆)を食用としていたということです。日本では江戸時代にさやごと食べる習慣が始まりましたが、広く普及したのは明治時代になってからで、欧米から優れた品種が輸入されて、全国的に広まっていきました。


 スナップエンドウマメ(白花)
 スナップエンドウマメは絹さやエンドウマメと同じさやエンドウマメの一種ですが、豆が成熟して大きくなってもさや(莢)が硬くならないのが特徴で、アメリカから導入されたエンドウマメの品種です。豆もさやも食用にできるため、グリーンピースのような性質も兼ね備えています。また、「スナックエンドウマメ」という名前で売られていることもありますが、スナップエンドウマメと同じものです。


 ソラマメ
 さやが上に向かって伸びるようにつくので「空を向いた豆」が名前の由来で、熟すと下向きになります。また、形が繭(まゆ)に似ていることから「蚕豆」とも書きます。原産地は西南アジアから北アフリカと推定されており、生育適温は16~20℃で、エンドウマメほど耐寒性、耐暑性は強くないです。
 冬の低温にあうと花芽(はなめ)ができる性質がありますので、秋まき春どりが通常の栽培サイクルです。草丈7~8cmの大きさの苗を、適期に植付けて冬越しをさせて、春には適期の手入れでさやの充実を図ります。「ソラマメがうまいのは3日だけ」と言われるほど、鮮度が落ちやすい野菜の一つです。


 ルッコラ
 ルッコラは地中海沿岸地域原産のアブラナ科キバナスズシロ属に属する葉野菜で、イタリア料理やサラダによく使われ、ピリッとした辛味とほんのりと香るゴマのような風味が特徴的です。ルッコラはイタリアでの呼称で、英語名はロケットと呼ばれています。
 原産地である地中海沿岸地域では古代ギリシャ時代、古代ローマ時代から栽培されていたと言われており、古くから親しまれているハーブの一つです。ピザなどのイタリア料理によく使われ、日本ではサラダなどに入れて食べることが多く、ハーブの中でも特に親しまれているものです。


 カタバミ
 カタバミはカタバミ科カタバミ属の多年草で、日本の固有の植物で、日本では道端や空き地、農地などでもよく見かけます。和名のカタバミは漢字で「片喰」と書きます。ハート形の葉が、昔の人には一部が食べられて欠けているように見えたことに由来しています。また、カタバミは「酢漿」と書くこともあり、「酸葉(すいば)」「スイモグサ」と呼ばれることもあります。これは葉や茎にシュウ酸を含んでいるため酸っぱい味がするのことに由来しています。
 カタバミの葉は強健な繁殖力に子孫繁栄の縁起を担ぎ、縁起が良いとされて、平安時代から家紋にも使われてきました。


 イモカタバミ
 イモカタバミ(芋片喰) はカタバミ科カタバミ属の球根性の多年草で、南米から戦後になってからの帰化植物で野生化しており、4〜9月にかけて、道端の隙間に生え桃色の五弁花を咲かせます。葉は3出複葉で小葉は心形で、葉の間から花柄から集散花序を出し数輪の花を咲かせます。花色は通常、桃色品種が知られますが、稀に白花品種もあります。イモカタバミの名前につくイモ(芋)とは根が芋状(塊茎)であることに由来しています。


 オオイヌノフグリ
 オオイヌノフグリ(大犬乃陰嚢)はオオバコ科クワガタソウ属で、明治の初めにヨーロッパから日本に伝わってきた帰化植物です。越年草で草丈が10cm~20cmほどで地面を這うように育ち、とても丈夫で繁殖力が強く、自生する場所は土手や公園、空き地などの日向を好みます。花は太陽に反応して咲き、日が暮れるとしぼむ1日花で、花の時期は長く2~5月に次々と花を咲かせます。
 オオイヌノフグリの名前の由来は、日本に古来よりある植物のイヌノフグリによく似ていてイヌノフグリより大きいことから、このように呼ばれるようになりました。また、種の形が雄犬のフグリ(陰嚢)に似ているので、オオイヌノフグリと呼ばれるようになったという説もあります。別名としては、小さな青い瞳が覗いているように見える事からも別名「星の瞳」と言われたり、もう一つの和名としては瑠璃唐草という名前もあります。


 カラスノエンドウ
 本州~沖縄の暖地に分布するマメ科ソラマメ属の蔓性植物で、道端や土手、野原や荒れ地などで普通に見られる越年草(二年草)です。黒い豆果の様子をカラスになぞらえて、カラスノエンドウ(烏野豌豆)と名付けられていますが、本来の和名はヤハズエンドウ(矢筈豌豆)で、小葉の先端が矢筈(弓矢で弦を引っかけるU字部分)のように浅く凹んでいることに由来しています。
 葉は小さな卵形の葉が8~16枚集まり、長さ5㎝ほどの羽根状となり、葉の先端は2~3つに分かれて巻きヒゲ状になり、この巻きヒゲによって他物に絡まりながら育ちます。カラスノエンドウの新芽が出るのは秋で、低い株で越冬し、翌年の初夏~初秋に枯れます。
 開花は3~6月で、直径1~2㎝の花が、短い柄に1~3輪ずつ咲きます。花は蝶形で紅紫色が基本ですが、淡い紅紫色や白色の花もあります。花の後にできる実はサヤエンドウに似た扁平な豆果で、長さは3~4㎝ほどで、黒く熟すと二つに裂け、晴天の日に5~10粒前後ある褐色で黒いまだら模様が入った種子を弾き飛ばします。


 イヌムギ
 イヌムギはイネ科スズメノチャヒキ属で南アメリカ原産で、日本では江戸時代に渡来したとされています。現在はその分布が全国に広がっており、主に畑や道端、草地などに生育しています。草丈は50〜100㎝程度で、茎は直立し、節があるのが特徴で、葉は長さが10〜20㎝、幅は5〜10㎜程度の線形で、葉の縁には細かい鋸歯があります。花は穂状花序を形成し、多数の小穂が下垂して咲き、花期は5〜7月です。小穂は長さ1〜2センチで、長さ約1センチの痩果が生り、種子は風や鳥によって運ばれます。
 イヌムギは他の植物と競合し、生態系に影響を与えることがあるため、注意が必要な植物種です。イヌムギは、南アメリカを中心に分布している植物で、起源は南アメリカ大陸にありますが、16世紀にヨーロッパへ持ち込まれ、その後、世界各地に広がっています。


 ハナニラ
 ハナニラはアルゼンチンを原産とするヒガンバナ科ハナニラ属の多年草で、春に咲く星型の可憐な花を観賞するため、明治時代中期に渡来したものが各地で野生化しています。丈夫で育てやすいため依然として園芸用には人気があり、様々な花色の品種があります。ハナニラの名前の由来は株全体にニラのにおいがすることからきています。
 地下にある鱗茎はタマネギ状で、これが分岐することで株が大きくなっていきます。丈夫で、繁殖力が高いため、今では道端、土手、空き地など多くの場所で生育しています。ハナニラの開花は3~4月で、葉の間から生じる長さ10~20㎝の細い花茎に、直径3㎝ほどの花が一輪ずつ咲きます。花弁は6枚で薄紫、白色、ピンク、黄色などがありますが、草丈のわりに花弁が大きいため目立ちますが、雨天時や夜間は閉じています。

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